「調査報道」のメリットと課題

 雑誌「Journalism(2012.10号)」の特集は、「調査報道の現実」。
 今、報道に対して、大きな不信感がもたれています。東日本大震災でそれが大きくあげられました、「発表モノ」ばかりで政府の広告になっているのではないか、という強い指摘です。
 そうしたことから、「調査報道」が大きな注目になっています。特集では、この「調査報道」に対しての今後の方向や課題、今の報道の課題や海外の例などが取り上げられていました。
 興味深かったのが、「「個人技」の調査報道を組織で引き継ぐ 朝日新聞特別報道部の実践」「ステレオタイプの調査報道に潜む罠 「対権力」一辺倒からの脱却を」。
 これまで数々の名物記者達を生み出してきた報道の世界。その記者達が様々な記事を生み出し、社会に影響を与えてきました。そうした記者達の報道を今後の報道に活かせないか、そのヒントを提起してくれています。そして、「調査報道」での陥りやすいことの問題提起も。
 記事の中では、「記者クラブ」に関してのことも。「記者クラブ」といえば、悪いイメージがあります。しかし、それをどう活用するか、が課題になっています。確かに「記者クラブ」による悪影響問題は問題ですが、問題だといって、それをなくすだけではなく、それを良くすることはできるのではないか、と。
 「調査報道」をウリにするのはいいですが、実はキーワードはいろんなところにあって、その「調査報道」という定義を考えてみることが必要。つまり、従来の定義にしばられ、その本質を見失っていては、「調査報道」を見誤ってしまい、せっかくの「調査報道」への注目を残念にしてしまうこともある、と。

 面白かったのが、「18歳の定点観測はやめられない フリーライターの甲子園取材20年記」でした。
 高校野球はあまり見ませんが、面白いのは本当に理解できます。野球は高校野球が面白いです。その高校野球の主人公達には様々な物語があって、その背景から高校野球の情熱が伝わってきます。そして、その高校野球を追ってきた記者の筆者。その高校野球の取材の背景が面白かったです。
 高校野球から世代の歴史や背景、社会的な視点も分析できたり。記事の中で面白かったのが、「アマチュアはトーナメントなんで、負けたら終わり。負けた夜は自分のプレーを後悔してひと晩泣いてもいいんです。でもプロは翌日にもまた試合があるから、そんことしていられません。プロは反省しても後悔している暇はないんです」という言葉を聞いたそう。そこから、「アマは後悔してもいいが、プロは反省しても後悔してはならない。野球だけでなく仕事にも通じる言葉ではないか」と。確かに。

 そして、この連載モノは勉強になります。
 「新人記者のための取材力養成講座 第1回 取材の基本 正確に事態を把握するため 多くの人に話を聞こう」。
 記者は伝える仕事。モノゴトを取材し、それをわかりやすく、伝える。モノゴトを取材する時は、多くの人に話を聞くことが正確な事態を知ることになる、と。そのことを様々な例を出して、書かれていました。ある意味、当たり前のように感じるかもしれませんが、これが結構、難しかったりするものです。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)