ゾッとしたバスでの出来事

 私は大学卒業後、タイに旅行に行きました。期間は約2ヵ月間でしたが、ちょっとしたバックパッカー旅行でした。大学生の時、原付バイクで三重県から九州の鹿児島県の佐多岬まで旅行したことがあり、その旅行の醍醐味を今度は海外でも体験したい、そして、世の中のことを世界のことを少しでも知りたいと思い、旅行に出ました。
 タイ周辺を旅行するのが目的で、結果的にタイ、ラオス、ベトナム、カンボジア。そして、タイと旅行してきました。移動は主にバス。そんな旅行で経験したことです。

 ある時、私はラオスの首都ヴィエンチャンからベトナムの首都ハノイまでのバスに乗りました。夕方遅くにバスはやってきて、乗車。前日にラオスのルアンパバーンに行っていたのですが、生憎体調が最悪で…その体調不良(おなかの具合)は改善されないまま、ベトナムに向かうことになりました。
 幸いなことにバスの席は余裕があり、2座席分座ることができたので、横になっていました。ラオスに来る前にはタイにいて、タイから出発する際に知り合った男性が私の体調不良を見かねて、漢方薬をくれまして、それが効いていたので体調不良はその時はまだよかったのです。

 バスは走り続け、ラオスの田舎道を進んでいきます。夕方から夜になり、辺りはすっかり暗くなっていました。私は時たま起き上がって、窓の外を見ては、また横になったりしていました。
 窓の外はもう田舎のちょっとした森だったと思います。横になってちょっとした寝れそうで寝ていない状態で目を閉じていた時、バスがいきなり停車しました。バックパッカー旅行をしていると、危ない目にあうこともあると聞きます。ミッシングの張り紙を見かけることもあり、移動中に強盗にあうこともあると聞いていました。ラオスの移動中に強盗に襲われることも時々あると聞いていたので、「まさかっ!?」と…。
 私の頭の中では、もうフル回転状態です。「どうしようか? そのままお金を出そうか? それとも少しだけでも隠そうか? でも、見つかって逆上されても…」といった考えが頭の中で飛び交っていました。

 そうこうしていると、バスにいた乗客たちが次々と席を立って、バスから出て行きます。強盗に「外に出ろ」と指示されたのか? 私は恐る恐る席を立ち、バスの出口の方を進んでいくと…。
 何のことはない。トイレタイム、休憩タイムでした(笑)。
 今では笑い話ですが、その時は「もう仕方がない」と覚悟を決めた場面でした。