「電子書籍の衝撃~本はいかに崩壊し、いかに復活するか?~」/佐々木 俊尚

 著者は本をよく読み、本も出しています。背表紙の概略は、

「私は年に数百冊も本を購入し、たぶん百冊以上はちゃんと読んでいる活字中毒者です。そして同時に、年に四~五冊も本を出している書き手のひとりでもあります。その意味で、キンドルやiPadのような電子ブックリーダーが出てくることによって、本の世界がどう変わっていくのかは自分にとっても切実な問題としてとらえています。本文中で何度も書いていますが、間違えてはならないのは、「電子ブックの出現は、出版文化の破壊ではない」ということです。何千年も同じような活字形式で人々に愛されてきた本は、そう簡単には崩壊しません。そこがたかだか数百年の歴史しかない新聞や、あるいは登場してから数十年しか経っていないテレビとは違うところです。でも活版印刷が十五世紀に発明されて本の流通と読まれ方が劇的に変わったように、電子ブックも本の流通と読まれ方を大きく変えるでしょう。」

 この概略からも分かるかと思いますが、著者は本との関わりが非常に強い方です。2010年は電子ブックブームとなりました。雑誌の特集では、様々な電子ブック機器や電子ブックの未来を分析するなどとした、特集が組まれたりして、社会現象になりました。
 その火付け役となったのは、アップルのiPadの発売が大きなきっかけになりました。それから、シャープもガラパゴス、KDDIも電子ペーパーの機器を出したりと、電子ブック合戦が花開きました。
 今年、2011年は少し落ち着いてきた感がありますが、街中を歩いていると、iPadを操作している人といった電子ブックを活用している人が目立つようにもなってきました。今後、電子ブックはさらなる改良がなされ、普及していくことになるでしょう。

 そこで、紙を扱う出版社などがどう対応していくか、つまり、これまでの出版・メディア業界のあり方が問われています。経済危機で出版・メディア業界は大苦戦を強いられています。そんな中で、電子ブックという大きな存在感を持ったものがあらわれたわけです。
 著者は、今後の電子ブックの行方は、音楽が展開する行方に流れていくのではないかと言っています。音楽はCDというセットから、音楽の曲をそのまま買うというスタイルになっていきました。さらには、昔の曲、今の曲という概念がなくなってきている、といいます。そして、音楽というものは、いつでもどこでもすぐに買って、聴けるといった環境になり、アンビエント化していった流れが、電子ブックでも当てはまってくるといいます。
 まだ、課題はあり、そのまま本の世界に当てはまりはしないものの、似たような流れになるかと、分析しています。
 そうしたことは、ビジネスにも大きな影響を与えることから、これまでのビジネスから大きな転換が起こるかもしれないし、新しいチャンスが舞い込んできそうです。

 それでも、これまでの紙の本は残っていくのでしょうが、紙の本には紙のメリット・デメリット、電子ブックにもメリット・デメリットがあり、それぞれが融合して、活用されていくのではないかと思います。

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