原発の流れと放射能

 Newsweek(2011.3.30号)は、東北地方太平洋沖地震が特集されていた。

 地震に関する記事を挙げていくと、
・「チェルノブイリ、25年目の教訓」
・「原子力ルネサンスの早過ぎる黄昏」
・「原発情報をせがむ中国の厚顔無恥」
・「援助隊の活躍は日中関係を変えるか」
・「ヨーロッパ経済に「激震」警報発令?」
・「アップル株の急落は日本の地震のせい?」
・「放射線はどこまで浴びて大丈夫か」
・「3.11大震災が東京に残した教訓」
・「やはり原発は必要?」
・「忘れてはならない3.11の記憶」
・「想定されていた「フクシマ」の暴走」
・「未曽有の不安に追われて」
・「被災地で見たトモダチ作戦」
・「世界が贈る「ガンバレ、ニッポン」」
・「阪神淡路の悲劇は繰り返される」
・「震災取材はどうあるべきか」
・「大震災で日本人はどこに向かうのか」
・「世界を襲う複合経済危機」
・「技術は災害を超えるが」
の計19記事。全体が30記事中で。

 今回の地震の衝撃は世界中にもたらした。
 「原子力ルネサンスの早過ぎる黄昏」の記事では世界の国々に与えた原発事情が浮かび上がってきた。
 10年1月時点で世界30か国が計432基の原発を運転し、新たに導入を検討中の国は20か国以上だそうだ。
 環境問題が盛んに話題になり、原発のメリットばかりが注目された。CO2を出さないことだとか、小さな原料で莫大なエネルギーを得られるとか。原材料のウランは原油と比べて安定的に調達でき、二酸化炭素の排出量も少なく、発電コストも安上がり・・・といった具合だ。
 しかし、そうした原発のメリットに隠れた大きなリスクが現実に脅威になった。

 アメリカでの話。オバマ大統領は79年のスリーマイル島原発事故以来、凍結していた原発建設を「クリーンエネルギー政策」の一環として再開しようとしていた。昨年は30年ぶりの新規の原発建設に対する83億ドルに上る政府の融資保証も発表し、共和党も原子力政策については、超党派での支持を表明していた。アメリカは現在、国内の電力需要の20%を104基の原発で賄っている。
 しかし、今回の福島原発の事故後、議会からは政府の原発政策の見直しを求める声が高まり、各メディアも高い技術力を誇っていた日本での事故を受け、現在の政策に疑問を呈した。

 フランスでは、国内電力の約80%を原子力に依存するエネルギー事情に加え、中国やインドなど新興国などへの原発関連技術の輸出にも注力してきたことも、気になるところ。

 ドイツは、長年にわたり脱原発を進めていたが、昨年に方針を転換して既存の原発の稼働年数を平均12年間延長する決定を下したばかりだった。メルケル首相は地震直後に「ドイツに地震や津波の心配はない」と安全性を強調したが、稼働延長の決定を3か月間凍結すると発表。

 スイスは、進行中だった3か所の原発建設・改修計画を凍結すると発表。

 中国はすでに13基の原発が稼働しており、27基の新規建設計画が進められているが、新規建設の凍結を決定。

 こうした流れの中で、インドは2030年をめどに進めている1,750億ドル規模の原発政策をやめるつもりはないという。

 「代替エネルギー」への注目度が高くなっている。原子力ルネサンスの終焉は再生可能エネルギーへの追い風になるとの見方が広まり、太陽・風力エネルギー関連の株価が大幅に上昇しているという。

 現在、放射線の不安が高まっており、政府の訴えに疑問も多く聞かれる。「放射線はどこまで浴びて大丈夫か」の記事が一つのヒントになる。
 科学者の一般的見解によると、被爆線量が1シーベルト増えると(言い換えれば平均的な年間被爆量の280倍の放射線を浴びると)、癌発症の生涯リスクは4~5%増加するという。ただしこの数字は年齢や個人差によって変わる。
 被爆線量の国際的な安全基準は存在しないのが現実なところ。平均的アメリカ人の年間被爆線量は3.6ミリシーベルト。その8割は自然界から放出されている。
全米放射線防護・測定審議会によれば、自然被爆や医療被曝でない形で浴びる放射線量は年間1ミリシーベルト以下が望ましいそうだ。そして、一度に浴びる放射線量が0.01ミリシーベルト以下なら「無視できる量」だという。
 現在も政府などが日々の放射線量を定期的に公開しており、様々な識者が解説を述べている。こうやって読んだり聞いたりしても、なかなか具体的なイメージが理解できなかったりする。要するに、もっと簡単に言うと、どう大丈夫なのか?(笑)

 単位がいくつかあったりと、もっと調べて勉強する必要がありますね(笑)。