津波が恐い!

 東北地方太平洋沖地震は甚大な被害をもたらした。Newsweek(2011.3.23号)でいくつか、地震に関する記事が掲載されていた。

 まずは、「日本を直撃した想定外の悪夢」の記事。
 日本はもともと4つのプレートに位置し、過去に何度も巨大地震を経験してきた。地震大国である日本は、地震の予知や対策で、世界トップレベルの技術とノウハウを蓄積してきた。そんな日本、東北地方太平洋沖地震で膨大な被害が出た。
 地震の影響もさることながら、地震後の津波が甚大な被害をもたらした。大規模な地震によって、海底が隆起し、それにより押し上げられた巨大な水の塊が、海岸沿いの土地に猛烈なエネルギーで押し寄せる。それが地震津波だ。

 「津波対策に世界の知を結集せよ」の記事。
 津波の被害は、04年のスマトラ沖地震・インド洋津波、昨年2月のチリ地震と10月のスマトラ沖地震が、記憶に新しいだろう。日本では95年の阪神大震災があげられる。
 昨年2月のチリ地震の際にチリの人々は避難したが、それはおおむね自発的判断に基づく行動だったという。津波警報は発令されたものの、津波がまさに海岸に押し寄せようとしていた時に、不可解なことに警報が解除された。死者は200人を超したという。
 スマトラ沖地震の場合は、ほとんどの住民が軽い地震と感じ、自発的避難を行わなかったという。スマトラのテレビ局は全て、避難を呼び掛けるテロップを流したが、ほとんどの村には電気が通じていなかったため、スマトラ島の西に、位置するムンタワイ諸島の住民はそれを見ていなかった。津波の襲来に島の人々は初めて気づいたのは、沿岸に押し寄せる波の轟音が届いた時だったという。400人以上が死亡。
 そして、3月11日の日本。津波の警戒を呼び掛けるサイレンが鳴ったが、大津波により極めて多くの人々が死亡、もしくは行方不明に。

 このようなことから、津波の被害は大きな被害をもたらす。
そこで、「ツナモグラフ」が一つの対策になるのではないか。「ツナモグラフ」は津波を探知して警報を発するシステム。太平洋にはアメリカ沿岸を中心に、米海洋大気局(NOAA)が開発した計器で、海底に40基以上設置されている。
 日本は世界で津波対策が進んでいると言われる国だが、このツナモグラフを設置しておらず、どの時点で捜索・救援活動を始めて安全か判断できる体制が備わっていなかった。
 正確なリアルタイムの予測を行うための技術として、NOAAは太平洋のどこで地震が発生しても、アメリカ西海岸の一部の主要都市に押し寄せる津波の高さと速さを予測することができる。ただし、海底に設置したツナモグラフの数がまだ少ないため、この予測の正確性には限界がある。
 そして、もう一つ。サイレンだ。古くさい警報だが、緊急時には命を救う役に立ち、コストも安い。多くの国では放送や携帯電話に頼っているが、大きな警告音ほど人々に行動を起こさせるものはない。
 最先端の警報システムは津波対策の一部で、世界が必要としているのは津波に強い地域社会。津波だけではなく、様々な沿岸部の災害や洪水、ハリケーンに備えて防災計画を立てる地域社会が必要だ。そのためには、避難訓練と継続的な教育が必要になってくる。
 ちなみに、地中海海盆の東部にはスマトラ沖に匹敵する長さの大陸プレートの境界線があり、過去2000年で数度、今回の日本と同規模の地震と津波を起こしている。

 ということで、津波対策の一つの例があった。

「大地震の悲劇はまだ終わらない」の記事。
 災害の原因が被災地の地理にある。過去50年の研究で、地球の表面は何枚かの巨大なプレート(岩板)に覆われていて、このプレートの動きが火山の噴火や地震などの地殻変動を起こすという「プレートテクトニクス」理論が確立されてきた。
 日本は、複数のプレートが重なる場所に位置する世界最悪の地震大国の1つ。これほど頻繁な地震をこれほど多くの人が生き抜いてこられたのは、日本人の優れた技術力や社会的結束力、権威を尊重する姿勢、そして規律の高さのおかげもある。

 科学的な証拠ははっきりしないが、いくつかの地震が一定のまとまりをもって生じるという。つまり、巨大なプレートの一角で地震が起きると、数週間後または数カ月後に同じプレートの別の一角で大きな地震が起きることが少なくない。
 太平洋プレートでは昨年2月にチリ、今年2月にニュージーランド、そして先週に日本と、3つのエリアで大地震が起きた。まだ何も起きていないのは北東部。太平洋プレートの北東部に位置する断層はというと、サンアンドレアス断層。つまりアメリカ西海岸のサンフランシスコ周辺だという。
 サンアンドレアス断層がいつか大きな自信を起こすという。この地震で最後に起きた大地震は、1906年に推定M7.8を記録したサンフランシスコ地震。既にエネルギーは限界寸前までたまっているという。

 まさか、今度はアメリカに…。

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