不思議な伊坂ワールドを楽しめつつ社会について考えさせられた、小説『モダンタイムス(上・下)』(伊坂 幸太郎)

 伊坂氏の不思議なワールドを楽しみながら、社会の仕組みを考えさせれる内容で面白かった。

恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。
(小説『モダンタイムス(上)』のあらすじより)」

5年前の惨事――播磨崎中学校銃乱射事件。奇跡の英雄・永嶋丈は、いまや国会議員として権力を手中にしていた。謎めいた検索ワードは、あの事件の真相を探れと仄めかしているのか? 追手はすぐそこまで……大きなシステムに覆われた社会で、幸せを掴むには――問いかけと愉しさの詰まった傑作エンターテイメント!
(小説『モダンタイムス(下)』のあらすじより)」

(ネタバレ要素が含まれますので、ご注意ください。)

 前半は不思議なサスペンス劇で、後半は謎を探っていく展開が楽しめました。
 個人的には、この後半戦から面白くなって読み入りました。前半はどこか淡々とした感じで読み進め、不思議なサスペンス的な謎を読んでいました。

 ということから、後半から物語の展開に入り込み、同時にそこで展開される社会問題と、リアルな社会についてを考えていく読み方をしたりと、考えながら物語も楽しめるというものでした。

 物語を読んでいて、いくつか興味深かったこと・考えさせられたことがあります。

・エネルギー資源の採掘というのは慎重になる。外部に知られれば、他国(他企業)との競争が激しくなり、獲得が厳しい状況になる。だから、決定的な状況になるまで公開できないという。

・事の真実は、視点や立場によって意味は変わってくること。

・人は事件やトラブルにストーリー性を求める傾向がある。単発の事柄に共通点があると、それはあたかもつながっているように見え、ストーリーを持っているように受け止める傾向にあること。

・高いところから見ている人(例えば政治家)の視点からは、地上の詳細までは分からないのかもしれない。何となく大まかな感じがあり、霧がかっているようで、何となく流れているシステムのようなものが見えるだけ。でも、詳細の動きがなぜそうなっているかまでは分かっていないのかも。

7/10)

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