ウイルスについての視点が衝撃だった、小説『ヒュウガ・ウイルス 五分後の世界Ⅱ』(村上 龍)

 今作も淡々と読ませると同時にどこか考えさせられる内容で引き込まれました。

小説『ヒュウガ・ウイルス 五分後の世界Ⅱ』(村上 龍)

「日本国軍から、細菌戦の特殊部隊との同行を求められたアメリカ人ジャーナリスト、キャサリン・コウリーは、九州東南部の歓楽都市ビッグ・バンで発生した感染症の説明を受けた。情報は少ないが、筋痙攣の後に吐血し死亡させる出現ウイルスが蔓延しているという。ずれた時空の日本を襲った人類《最後の審判》。鮮烈の長編小説。
(小説のあらすじより)」

 今回はもろに、五分後の世界の舞台。前作のように主人公がいつのまにか五分後の世界にやってきたというわけではなく、始めから終わりまで五分後の世界だけの舞台。しかも、今回は世界の国々の状況や関係性といったことが少し踏み込まれていました。

 今作ではウイルスという細菌が脅威になって、人類を脅かしているという問題で、物語が展開されます。「ウイルスというものがどういうものなのか」、この小説を読んで、これまでウイルスをこんな視点で考えてこなかった分、小説でウイルスについて、こうやって考えるというのは、ちょっと衝撃的でもありました。

 主人公は今回はアメリカ人ジャーナリスト。物語では日本の敵国にあたるアメリカ人が、日本の軍人を取材するというのが始まり。
 そこから、取材でウイルス問題へと向かう日本の軍人の従軍取材みたいなものになる。そこから、日本というものを知り、日本人を知っていく主人公。
 先のウイルスに関しても、その日本軍人の話から受けたものでした。

 今作の終わり方もどこか考えさせるもので、「答えは自分で」って感じ。スッキリはするようで考えさせるもの。
 物語展開はどこか淡々さがあり、その淡々と進んでいくようで、引き込まれもします。なので、物語としても楽しめつつ、考えさせられる、どこかイズム的な要素もあって、物語と考える内容の小説として楽しめました。

7/10)

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