政治というものを考える、『政治って何だ!? いまこそ、マックス・ウェーバー『職業としての政治』に学ぶ』(佐藤 優・石川 知裕)

 政治について考えた一冊になっています。

『政治って何だ!? いまこそ、マックス・ウェーバー『職業としての政治』に学ぶ』(佐藤 優・石川 知裕)

「著者の名前も書名も知ってはいても、政治家はおろか政治学を学ぶ学生でもあまりしっかりとは読んでいないマックス・ウェーバー『職業としての政治』。この名著を現代の政治を例にとりながら、わかりやすく「政治とは何か?」という難問に答えていく。小沢一郎を間近に見てきた政治家・石川知裕の「政治のリアル」を踏まえた鋭い質問に答える形で、佐藤優が民族、宗教、権力に関する幅広い知見をベースに、マックス・ウェーバーの哲学を鮮やかに現代に再生させる。エキサイティングな「知」の冒険が詰まった一冊。
(本書より)」

 「政治ってなんだろう?」の答えのヒントになる内容となっていました。
 政治について、様々な事例を用いながら、対談形式で構成されています。

 名著を例にして、政治について読み解き、政治とはどういうものか、について追求しています。
 難しくもありますが、わかりやすい部分もあり、政治についてを考えるヒントになる内容となっていると同時に、今後の状況の考察も含まれていました。

 興味深かった内容は、

・『イスラム国』の組織の特徴としては、「指導者がいない」というところ。重要なのは、種を維持することという考え方で、「イスラム国」の現象の中心にはイスラム共同体を維持することがある。
→強力なリーダーシップがある組織よりも、顔が見えないユニットで動いている組織の方がよく動くようになる。

・「イスラム国」の今後は、生産に携わっているため、現行の資本主義システムに寄生していくことしかできない。
→戦いを常に続けていかないといけない、常に外部を拡張していかないといけない。外部が拡張できないと内部に敵をつくって、内部から収奪することになる。

・政治を職業とする道は2つある。政治「のために」生きるか政治「によって」生きるか
→政治を恒常的な収入源にしようとする者は、職業としての政治「によって」生きる者で、そうでない者は政治「のために」ということになる。
 経済的な意味で、政治「のため」に生きるためには、当人が政治から得られる収入に経済的に依存しないですむことが必要になる。つまり、収入を得るために、自分の労働力や思考の全部か大部分を、絶えず働かせなくてもすむことが必要。

・国会議員は、生活費(家族を養うお金、自分で暮らすためのお金)と政治活動費の2つの財布が必要になる。
→お金を稼ぐための時間を取られず、政治活動に専念するには不労所得がいる。

・絵を見せて「世の中はこういう風になっている」と言っても、人間はなかなか信じないが、同じ柄をパズルで自分で組み立てさせると、信じやすいということ。
→実際は、つくらされているのに、自分でつくりあげたように錯覚してしまう。

・署名主義の新聞記事について、署名があってもその会社の中で共同主観性があるため、記者は「社論」を斟酌してしまい、無意識のうちに社論の範囲内でしか書けなくなってしまう。
→署名記事でも社論から派生している。

・投書欄は、新聞記事の中で最もその新聞の論調を分かりやすく示している。
→新聞社側が投書を選択して掲載することによって、社論をしめしている。

・ナショナリズムには特定の指導者がいない。その上、傑出した論理もない。ナショナリズムは自分たちの文化的な単位と政治的な単位を合致させていこうという、曖昧な定義しかできない。だからこそ、ナショナリズムは強い力を持てる。誰かがいなくなっても必ずその後の群れに誰かしら入ってくる。
→ナショナリズムの渦が一度生じたら、なかなか止まらない。

・なぜ日本には二大政党制が馴染まないのか。まず、宗教によって国家が二分化されたことがない。それから階級によって二分化されたこともない。

・日本は、大与党の下にサテライト政党がくっ付くような形になっていくかもしれない。大与党の連立に入っていない人たちは、政局のプレイヤーではなくなる。大与党側の外側にいる人は何か正義を追及したりとか、個人的な事情があるとか、特殊なイデオロギーを持っているとか……こういう人たちは大与党の連立に入ってこない。普通の人や政治で影響力を与える人は、大与党に入ってくるという流れになり、大与党に靡く時代になっていくのかも。
→政策を実現しようとすると、与党入りを模索するのは、いつの時代でも変わらない。

6/10)

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