最後にやられた!?(笑) 『誰よりも狙われた男』(ジョン・ル・カレ)

 これまでのジョン・ル・カレの世界を残しつつも、読みやすくなって物語に引き込まれました。

ドイツのハンブルクにやって来た痩せすぎの若者イッサ。体じゅうに傷跡があり、密入国していた彼を救おうと、弁護士のアナベルは銀行経営者ブルーに接触する。だが、イッサは過激派として国際指名手配されていたのだ。練達のスパイ、バッハマンの率いるチームが、イッサに迫る。そして、命懸けでイッサを救おうとするアナベルと、彼女に魅かれるブルーは、暗闘に巻きこまれていく……スパイ小説の巨匠が描く苛烈な諜報戦
(小説のあらすじより)」

 ジョン・ル・カレの物語は、じっくり読んでしっかり読めば、さらなる物語の深みに引き込まれるというイメージを持っています。細部の設定や物語の展開はどこか地道なものの積み重ねで、派手な演出や華やかさがないのですが、いつしか引き込まれているような読ませ方。
 それに、そうした地道さと綿密さを理解すると、さらなら面白みが加わる構成になっていると感じます。これがちょっとした疲れ感を感じながら読む結果になったり。ただし、この地道さという点が読む人を選ぶのかもしれません。

 そんなイメージを持っていたのですが、今作『誰よりも狙われた男』はその地道さはありますが読みやすくなっていました。
 物語の舞台はドイツ。ちょっと不思議な展開で始まりました。上記のあらすじからある通り、一人の若者がキーポイントになります。この若者を巡っての展開になります。

 クライマックスは衝撃的な展開でGood! 物語の後半戦になるにつれ、「こういう形で終わってくれ」と(読んでいる私の)物語の展開への期待を楽しみつつ疲れつつ(笑)、クライマックスへと読み進めていくと、「え~!?」っとちょっとした衝撃で終わりました。
 その終わり方がこれはこれで「なるほどな~」と思わせるもので、それはそれで受け止めてしまうものでした。

 著者はもう80歳ぐらいになるそうです。しかし、高齢の著者の勢いが衰えていないのを感じてしまう一冊でした。今後も楽しみです。

6/10)

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