『逆境を乗り越える技術』(佐藤 優×石川 知裕)

 読みやすくて、分かりやすい内容でした。

ともに東京地検特捜部に逮捕され、有罪判決を受けた外交官と衆議院議員。長期間の検察の取り調べに毅然として臨み、佐藤氏はその後、作家として大活躍。石川氏は議員辞職し最高裁へ上告中である。順風満帆だった二人の目の前に突然現れた、とてつもない逆境。今まさにその真っただ中にいる石川氏が、その逆境を乗り越えてきた佐藤氏に生き残るために何が必要なのかを問いかける。今、苦境に陥っている人へのリアルなアドバイスが満載。弱肉強食が進む現代、いつ訪れるかわからない逆境に備えるための貴重な一冊が誕生した。これはまさに、サバイバル人生論である。
(本より)」

 正直、石川知裕氏をそこまで知りませんでしたが、この本を読んでどんな人なのか、興味を覚えました。そして、佐藤優氏の話はすごく分かりやすい内容で、多くのヒントがありました。

 本は、大きく分けて、前半と後半の2部構成となっていて、
・前半は、「逆境を生きる――陥ってしまったら
・後半は、「平時――逆境に備え、やっておくべきこと
という内容になっています。
 前半は、私たちが生活していく上での考え方や行動の仕方など、人生の相談について盛り込まれていました。
 後半は、世界情勢に関する分析になっており、最近の世界情勢の背景と流れを理解できる内容。

 興味深かったことは、

組織は基本的に「上」の味方であるということ
 組織と何かあったら、上司には頼らない方がいい。上司に何かを相談した場合、まず上司は自己保身を考える。つまり、自己保身のために、梯子を外される危険性がある。
 自分と直接の指導命令関係がないところの「斜め上」にいる先輩を友達に持っておくといい。

・意見の違う上司に静かに自分の意見を言って、3回言っても受け入れられなかったら、上司の言うことを聞くべき。それを許容できないのなら会社を辞めること。
 組織は秩序破壊者を嫌うため、反発を2回、3回とあった場合、必ず自分にマイナス、それも相当大きなマイナスになる。

何が問題なのかを書き出すことで、物事が整理される。ノートに思い当たることを全て書いていくうちに、大体解決方法がわかったりする。
 例えば、対立候補と自分の長所、短所を分析して書いていく。
 書くという行為によって、問題を対象化――自分から距離を置いて見直すこと――できるから、問題の位相――一位置や状況――が変わる。

人間の記憶というのは基本的に映像に基づいている。視覚の中のポイントをきっかけにすると、そこから記憶が甦ってくる。

・メールに関して注意点として、少し意見や主張があるとか、あるいは何かを断るとか、そういった時は必ず一回、送信する前にプリント・アウト(相手から届いたメールもプリント・アウトしておく)して、ペンを持って筆を入れる。

短気はダメ。時の流れというものがある
 運命の巡りあわせが悪い時は、その巡りあわせの悪さが解消されるまで、じっと我慢すること。

逆境に追い込まれたら、絶対環境を変える必要がある
 一回、そこに至った流れを切断しないといけない。それまでの流れ、特に人脈にはあまりよくない部分がくっついてくるから、一回、気を切るみたいな感じで、環境を変えることが重要。
 そして、「これからはやっぱり自分のペースでいくべきで、無理はしない」とか「自分の今の実力を考えると、このあたりからのスタートが妥当だ」という考え方が大切。

プライドを捨てないと破滅することがある。だから、破滅するかプライドを捨てるかを厳密に選ばないといけない。

自分の置かれたポジション、状況については的確に把握することが大切。
 例えば、自分の能力からすると、出世などのマックスは、事件に巻き込まれて六掛けにする。そしたら結局、八掛けくらいのことになったり。
 こういった踏ん切りがつけられない場合、なかなか戻ってこられないことになる。

・根っこでは「絶対に生き残ってやる」と決心しているから、変なプライドを捨ててできる。
 サラリーパーソンでも、ずっと出世を続けてきて突然左遷とか、高校生なら大学受験に失敗とか、どこかでレールから一旦外れた時に、どうやって捨てられるものを見極めて、復活を考えていくのかということが大切。

・新聞やテレビというものは、公的なものとしてみんな扱うので、影響は大きい。普通の人は新聞やテレビの報道することを全て信じてしまう。
 まず新聞が来る。するとその後の週刊誌はその5倍ぐらいの規模に。中吊り広告に出始める・・・・・・新聞に大きく出た瞬間に雪だるま式に広がっていく。
 週刊誌なら一定のダメージ・コントロールができるけど、新聞に出たらこれはもう本当に対処不能。

・壁にぶち当たったら、政治家だったら政治活動を辞めるか辞めないかの判断が必要。辞めるのだったら早くまとめた方がいい。政治活動を続けるのだったら、これはもう最後まで戦うしかない。
 佐藤氏は、もし、途中で飲み込んでいたら、作家として活動なんてできなかっただろうという。最後まで戦い抜いて得られる、世間への“わかりやすい”説明、これがあるがために世間からの作家としての信頼も得られた。
 この種の話は、世の中に対してわかりやすくしないとダメだそうです。

どこに自分の根っこがあるのか、を突き詰めておく。。

・『人を見る』『色んな物事を分析する』ということについては、本当に偏見を持っちゃいけない。何かがあったからといって、本当にその人全体を否定する形になってはいけない。

・累犯などの犯罪というのは、社会構造と切り離せない面がある。
 累犯障碍者をどうやって社会に戻していくのか、それとも社会から切り離すのかということも注意深く議論していく必要がある。累犯の多くが窃盗と薬物。施設に入って更生しても、なかなか引き取り手がいないというのも実態。
 どうやって防いでいくのかも大事だが、一度罪を犯した人をどうやって社会に復帰させていくのかというのは、もっと政府がお金をかけて考えていかねばならない事柄。

・役員や次官になれるかどうかは30代の終わりから40代に入った頃からわかってしまう。自分がそこに入っていない時、どういう人生にするかということを組み立てられる人と組み立てられない人で、その後の人生の充実度は変わってくる。
 現実的に考えて、30代の中盤を過ぎたら、意固地になって古くからの夢にしがみつかないで、別の夢を持つべき。
 冷静かつ客観的に今の自分のポジションと実力を把握して、今後、どう進むべきかを考えなければいけない。

・本当に好きなことだったら絶対に食っていける。
 本当に好きだという人だったら、やっぱりそれに関することで飯を食っているケースが多くみられる。
 本当に好きなことをやっている人は、妄想を追いかけていない限りは必ずそこに現実的な手続きが入ってくる。

・受験というのは、与えられた状況の中でどこまでできるということですから、一浪してダメだったら「受験勉強という仕切りにおいては自分にあまり適正はないんだ」と自分で認めなければならない。そして、方向転換を。

・マルクス経済学や哲学が今、なぜ求められてきているかというと、多くの人たちが厳しい環境下でものすごく消耗していて、どうしてこういう目に遭うのか、そのからくりを知りたいから。

・物事を学ぶ時は、基本は欠陥のあるところまで下りていって、そこから「おもしろい」という形で知識を増やしていくこと。

(7/10)

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