わかりやすく日本の問題を取り上げた、『ジャーナリズム崩壊』(上杉隆)

 すごくわかりやすい内容で、今のマスコミの問題を取り上げていました。

日本の新聞・テレビ記者たちが世界中で笑われている。その象徴が日本にしかない「記者クラブ」制度だ。メモを互いに見せ合い同じカンニング記事を書く「メモ合わせ」、担当政治家が出世すれば自分も出世する歪んだ構造、権力におもねり掴んだ事実を報道しない体質、もはや新聞・テレビは権力をチェックする立場と国民に知らせる義務を放棄したも同然である。恐いもの知らずのジャーナリストがエリート意識にこりかたまった大マスコミの真実を明かす、亡国のメディア論。
(本より)」

 日本のマスコミの大きな課題をわかりやすく説明し、世界(特にアメリカ)のジャーナリズムを通じて、問題を取り上げています。
 ジャーナリズムというものを考える上で、根本の話から方法まで様々な点をわかりやすい内容となっています。
 日本のマスコミの課題をわかりやすく取り上げていますが、ここまで単純に指摘するのはさすがだなっと。

 興味深かったことは、
・単に、時事的な事象を報じるだけではなく、さらにもう一歩進んで解説や批評を加える活動を一般的にジャーナリズムという。
 公権力に対する監視役としての仕事が期待され、つまり「第四の権力」ともいえ、三権(立法、行政、司法)に対する監視こそがジャーナリズムの役割。

・発生したばかりの今、そうした事件・事故の第一報は、新聞の仕事ではない。その仕事は、APやKYODO(共同)などの通信社の記者の仕事。
 新聞の仕事は、発生した事件・事故にどういった背景があるのか、それは政治的なものなのか、単に金銭目当てのものなのか、あるいは無事に解決したのか、悲惨な結果に終わったのか、そういったもの全て見極めた上で初めて、取材をスタートするかどうか判断を下すべき。その上で、本当に読者にとって、それが有益なニュースなのかどうかよく吟味したのちに記事にするのかどうかを決める。

・Embrace diversity.(多様な価値観を受け入れよ)
Accept responsibility; delegate authority.(責任は受任すべし、だが権威は委任すべし)
Maintain perspective and a sense of humor.(常に大局的に捉え、ユーモアのセンスを忘れるな)
Our journalistic work is sacrosanct.(ジャーナリズムは神聖不可侵なものと心得よ)
Don’t be a slave to budgets.(カネの亡者となるなかれ)

・電車やバスで移動して、その間に市井の人々と話したり、街の広告から情報を得たりと、一般の人と同じ目線で動き、考え、取材活動に活かしている。
 ハイヤーを使ったりしているから、政治家や経営者などと同じ目線になりがちになる。そして、次第に向こう側(権力側)の世界に入っていることに気づかなくなり、いつのまにか同化してしまう。

・日本の新聞は色を嫌う。どちらかといえば、即戦力よりも無色透明な人材を求める傾向にある。採用後、長い時間をかけてひとりの記者を育てるための研修期間もある。自社色に染めることが正しいという感覚が疑いもなく受け入れられてきた。

・ノンフィクションとは文体で決まるのではなく、中身で決まるものではないか。自ら取材し、資料を漁り、情報を交差させ、重層的な分析を経て、ようやく執筆されるものをノンフィクションと呼ぶのではないか。

7/10)

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