美冬をどこまで信じられるか? 読む側も物語の中に引き込まれた『幻夜』(東野圭吾)

 久しぶりに、衝撃的な小説を読んだような気がします!

阪神淡路大震災の混乱の中で、衝動的に殺人を犯してしまった男。それを目撃した女。二人は手を組み、東京へ出る。女を愛しているがゆえに、彼女の指示のまま、悪事に手を染めてゆく男。やがて成功を極めた女の、思いもかけない真の姿が浮かびあがってくる。彼女はいったい何者なのか!? 名作『白夜行』の興奮がよみがえる傑作長編。
(小説のあらすじより)」
ネタバレ注意!? です

 東野圭吾の作品を読んだのは、この小説が初めてでした。読み始めて思ったのは、「どうして、もっとはやく読まなかったのか!」と思ったほど。物語の登場人物の魅力だけではなく、美冬の謎や美冬に振り回される雅也、そして、2人が繰り広げる展開が、リズミカルに展開され、仕掛けやミステリー、スリルが絡み合って、物語に引き込まれて、「次がどうなるのか?」という欲求を強く感じ、読むのをやめられなくなってしまいました(笑)。
 物語の後半になってから、友人から「『白夜行』から読んだ方がいい」というアドバイスを受け、中断して「白夜行」を読み、そして、再び「幻夜」を読んだのですが、「なるほど!」と物語の深みと面白さを感じさせることになりました。今作の魅力が、「白夜行」を読むことにさらに魅力的になるのがわかります。
 「幻夜」で物語に引き込まれたのが、やはり、美冬の存在でした。そして、雅也がどうするのか? どうなっていくのか? という謎と美冬の謎を追い求めながら読んでいきました。同時に、2人が繰り広げる展開が実に見事だったと思います。
 美冬とはいったい? という謎は物語の序盤から気になるものでした。序盤から雅也が振り回されるのですが、その雅也の存在が、この美冬との関係の行方、美冬そのものの謎への注目を高めてくれるものでした。つまり、謎の美冬をどこまで信じるのか? という疑問を読んでいる側にも感じさせるものでした。「危険な人物だろ」っとも、でも、「いずれは良いゴールがあるかもしれない」、という心の闘いを雅也と同時に、感じながら引き込まれていくのです(笑)。そこが、今作を読むのに、引き込ませられるポイントになっているのかもしれませんね。美冬は謎だけど、雅也はそうじゃない。つまり、雅也を自分に置き換えつつ読めるという、主観感覚を味わえるものでした。
 そこに、2人が繰り広げる、社会への高い地位への工作の展開が、すごくリズミカルな展開で、スリル、サスペンス、ミステリーなどなどがいい感じで盛り込まれて、物語をさらに夢中にさせてくれるものになっていました。
 クライマックスはすごい展開でしたが、終わり方は物凄い衝撃ではなかったのが、残念。しかし、いい感じで謎が深まる感じな終わり方になっています。
 次の作品が楽しみですが、果たして……。ここで終わってしまうのは、ちょっと……と思ってしまいます。是非とも、次を展開してほしいもの。
 「白夜行」を読んでから「幻夜」、もしくは「幻夜」だけ――どちらでも十分に楽しめると思います。「幻夜」だけだと衝撃的さを、「白夜行」を読んでからだと、深みが増すと思います。

9/10)

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