読み入るロシアの現実を追ったルポ、『暗殺国家ロシア 消されたジャーナリストを追う』(福田ますみ 著)

 ロシアの現実をここまで取材して、ルポとして世に出すのは本当にすごい。そして、その内容も読み応え抜群で、読み入る内容になっています。

白昼堂々緒粉割れる射殺、ハンマーでの撲殺、そして毒殺。社会主義政権崩壊後、開かれた国になるはずだったロシアで不審死が相次いでいる。犠牲者はジャーナリストたち。彼らはメディアが政権に牛耳られる国の中で、権力批判を繰り広げる急先鋒だった――。偽りの民主主義国家内部で、今、何が起きているのか? 不偏不党の市制を貫こうとする新聞社に密着した衝撃のルポルタージュ。
(あらすじより)」

 ジャーナリストは大まかに2つの種類に分けられるのではないか、と思っています。日本では、報道といえば大手新聞の記者や大手TVによるレポーターなどがイメージされると思います。そうした、大手報道機関は、ニュースを影響や話題が大きいニュースをいくつか取材して報道するという形が多いかと思います。
 そして、もう一つの種類は、上記の日々のニュースを編集して伝えるというスタイルではなく、自分なりのテーマを地道に、そして地味だけど、追っていくスタイルのジャーナリストがあるように思います。
 もちろん、どちらもジャーナリストには求められ、日々の仕事はどちらも行っているのでしょうが。ただ、どちらがいいとかそういうのではなく、マクロな視点もミクロな視点も大切で、どちらの仕事も重要で、どちらの視点も見ないといけません。

 このルポは、後者になるでしょうね。そして、後者のジャーナリストの部類に入る、ジャーナリストを取材して、ロシアの現実を伝えています。
 そして、真実を求めること、表現の自由など、そういった権利の大切さがいかに大切か、ルポを通じて伝わってきます。
 命の危険が生じる仕事で、同時にその脅威は大きく、言いなりになってしまうメディア問題を取り上げています。そうしたメディアの報道による影響は大きいもので、ルポで取り上げている新聞社「ノーバヤガゼータ」の苦境は深刻です。
 日本でも深刻な問題にもなっていますこの問題。ロシアよりはマシ状況と感じますが、それでも真実を追うメディアの苦境は問題になっています。

 普通に新聞やTVでニュースを知るだけでは、なかなかロシアの現実がわからなかったりします。話題はありますが、このルポを読んで、改めてその衝撃を感じました。本ルポはそれだけ、内容の重みがあり、読み応えアリ、読み入ります。

 そして、著者の福田ますみ氏の他の書籍が気になりました。こういったルポ本が今後も普通に出版できる世の中をきちんとつくっていかないといけないと感じます。
 そして、ルポ本で取り上げられている内容の解決がはやく訪れることを願います。

(9/10)

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